劇薬ってなんや?

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投稿日時:2020年3月17日(2020年3月20日に更新されました)

毒薬と劇薬

毒薬は分かります。

マコとガコの冒険でフローラちゃんが飲んだやつです。
(分かる人いたらすごい)

劇薬は…なんだ?

文脈的には「弱い毒薬」のように読めるけど、それがなぜ「劇」の「薬」なんだ?

というわけで、劇薬の意味や由来を調べてまいりました!

劇薬は薬機法で定義されていた

薬機法の第44条2項にて、この↓ように定義されていました。

劇性が強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医薬品

引用元:薬機法 第44条2項

毒性が強いのが毒薬で、劇性が強いのが劇薬ね。 うんうん、分かるよ。

だからその劇性ってのがなんなんだよ!

参考文献で調べてみた

現代歯科薬理学というテキストで調べてみました。

(クリックで拡大)

薬機法と全く同じことが書かれていました…。

「劇性」という言葉を調べてみた

weblio 国語辞典で「劇性」を調べてみると…

(クリックで拡大)

辞書に載ってない言葉を使ってたんかいッ!!

厚労省のPDFで明確な定義を見つけた

厚労省の「一般用医薬品及び劇薬について」というPDFにて明確な定義を見つけました。

毒性のある医薬品のうち、「どれくらい投与すると死に至るか」で毒薬と劇薬に分けているようです。 分かりやすいよう表↓にまとめました。

毒薬/劇薬の基準となる致死量
投与方法 毒薬 劇薬
経口投与30mg/kg以下300mg/kg以下
皮下投与20mg/kg以下200mg/kg以下
静脈内投与10mg/kg以下100mg/kg以下

めちゃくちゃ分かりやすいですね。

綺麗に数字が10倍になっているので、劇薬は毒薬の1/10程度の毒性を持つ薬品のようです。

なぜ「劇」なのか

「劇」って「演劇」の「劇」しか知らなかったので、「劇性」と聞くと「芝居がかった」とか「劇的な」みたいな意味になるのかなと思っていました。

いやいや、馬鹿にしたもんでもないですよ!
Google先生も似たようなこと↓言ってますw

(クリックで拡大)

冗談はさておきに、「劇」という文字の意味をGoogleで調べてみると答えはすぐに分かりました。

(クリックで拡大)

1の「はげしい」という意味ですね。

つまり「劇薬」というのは、

(毒薬ほどではないけど)激しい作用を持つ薬!

という意味です。

それにしても相変わらずGoogleはすごい。「劇」という字を検索する人が知りたいのはおそらく2の意味ではないってのを分かった上で、1を先に表示してるんでしょうね…。

なぜ「激薬」ではなく「劇薬」なのか

文化庁のページに「劇」と「激」について書いてありました。

「激」のほうが「劇」よりは機能が大きいといえるであろう。

引用元:語形の「ゆれ」の問題|文化庁

という記載を見るに、両方とも「はげしい」という意味で使われるが、「劇」の方は「劇的なはげしさ」に限定されるということかな。 例に挙がってる熟語を見るにそういう印象。

今日,「劇」に「はげしい」という意味があることは一般に知らなくなっているから,「劇職」「劇務」なども「激」を使うようになっていくであろう

引用元:語形の「ゆれ」の問題|文化庁

僕は意味を知りませんでしたが、大勢がそうなのね。 よかった。

「劇薬」は今日のところ「劇」を使うのはやむをえないであろう。

引用元:語形の「ゆれ」の問題|文化庁

これは薬機法にて「劇薬」という言葉で定義されてしまっているせいでしょう。 劇薬のマークなんかめっちゃ「劇」って書いてますからね。

以上から推測すると、

「激」も「劇」も使われていた時代に「劇的なはげしさ」というニュアンスで「劇薬」と名付けられた。

ということなんでしょう。

まとめ

  • 劇薬とは、毒薬の1/10の毒性を持つ薬のこと
  • 昔は「はげしい」という意味で「激」も「劇」も使われていて、その名残り

以上!

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