セレコックスというのは痛み止めの一種です。
こんな↓綺麗な緑色のパッケージ。
最初に書いたセレコックスの記事に「セレコックス 胃痛」というキーワードでのアクセスがちらほらあってですね。
「歯痛」に関しては以前書きました。
「頭痛」や「喉の痛み」とかもあったんですが、大筋は「歯痛」と同じなのでそっちを見てください。
「胃痛」だけ別に書こうと思ったのは、セレコックスに限らず「いわゆる痛み止め」はその作用的に胃痛では飲んではいけないはずなんですね。
今回はそのあたりに気を付けてセレコックスと胃痛の話をしたいと思います。
今回の記事のチェックは松原良太先生にお願いしました
どこの誰とも分からない僕が医療系のことについて書いても誰も信用できないと思うので、毎回テーマ毎にお詳しい先生に内容の確認をしていただくようにしています。
今回は、口腔外科の専門医である松原良太先生にチェックをお願いしました。
現在は熊本県玉名市にある【まつばら歯科口腔外科こども歯科】にいらっしゃいます。
まず、「セレコックス 胃痛」の意図はどっちだ？
「セレコックス 胃痛」で検索した人の意図は2パターンあると思うんです。
セレコックスで胃痛は出るの？
と、
セレコックスで胃痛は収まるの？
です。
前者はセレコックスに限らず、非ステロイド性の鎮痛剤が抱えた問題で、詳しくは最初に書いたセレコックスの記事を見てみてください。
たぶん前者を知りたい人が多いんじゃないかと思うんですけど、書く分には後者が面白いので、今回は後者の方の記事です。
後者を知りたかった人はこのままＧＯ！
胃痛ってそもそも鎮痛剤飲むのか？
これね、すごい面白いテーマなんです。
ちょっとイメージしてください。
頭が痛い時、何の薬飲みますか？
痛み止めですよね。
歯が痛い時は？
傷が痛い時は？
もちろん痛み止めですね。
じゃー胃が痛い時は？
これはたぶん胃薬と答えるんじゃないかと思います。
面白いでしょー！
なんでこんなことになってるのかと言うと、
痛み止めには胃が痛くなる副作用があるんですよ。
そんな薬を胃が痛い時に飲んで大丈夫なのか…？
ネットで調べてみた
オレ歯科には医科を診てくれる先生がいないのでネットで調べてきました。
ここによると「主に胃痛で使われるくすりの種類」として次の6種類が上がっていました。
- 胃酸分泌抑制薬（H2ブロッカー）
- 胃酸分泌抑制薬（M1ブロッカー）
- 制酸剤
- 胃粘膜保護剤
- 抗コリン薬
- 鎮痛鎮痙剤
ね？面白いでしょ？
「痛い！」っつってんのに鎮痛剤が入ってないんですよ。
最後に「鎮痛鎮痙剤」というのがありますが、例として挙がっていたのは「ブチルスコポラミン臭化物」「チキジウム臭化物」。
調べてみたところ「鎮痙剤」(痙攣を抑える薬)としてがメインのようで、いわゆる「鎮痛剤」(痛みを抑える薬)とは別物です。
他にもいくつかのサイトを見てみましたが「胃が痛い？ならロキソニン飲みなさい」と書いてあるところは見つけられなかったです。
鎮痛剤の効能に「胃痛の鎮痛」があるか調べてみた
鎮痛剤の添付文書(薬の公式マニュアル的存在)の「効能・効果」に、胃痛の鎮痛が書いてあるか調べてきました。
ついでに胃痛の副作用があるかも。
| 薬の名前 | 効能 | 副作用 |
|---|---|---|
| アスピリン | － | ○ |
| イブプロフェン | － | (胃腸出血 他) |
| インドメタシン | － | ○ |
| カロナール | － | (悪心・嘔吐) |
| セレコックス | － | (胃腸障害 他) |
| ボルタレン | － | ○ |
| ロキソニン | － | (腹痛 他) |
一目瞭然ですね。
いわゆる鎮痛剤は胃痛で処方されません。
むしろ胃痛を悪化させてしまう可能性がある。
鎮痛と胃痛対策はターゲットが違う
例えばケガをして痛い場合。
「外傷」という痛みの原因と、「痛い」という結果があります。
「外傷」の方は身体の治癒力に任せて、治るまでの間の「痛い」という症状の方を薬で抑えます。
今の新型コロナも同じで、対症療法というやつです。
これに対して、「胃痛」の場合。
鎮痛剤の副作用のせいで「痛い」の方を抑えることができないので、原因の方を止めます。
痛み止めのように即効性はないでしょうが、痛みの原因である胃酸を抑えることで、直に痛みが治まっていきます。
こちらは対症療法に対して原因療法と呼ばれます。
原因も結果も抑えられる場合
細菌感染なんかは原因療法も対症療法もできます。
原因である感染には抗菌薬で対策ができるし、結果の痛みにも鎮痛剤で対策ができます。
ただ、細菌感染を原因と呼べないケースもあるようで。
例えば、虫歯。
虫歯は細菌感染で起こりますが、そもそも歯に細菌が感染した原因が「歯磨きがうまくできていない」「歯に亀裂が入っている」などだった場合、こちらを改善するのが原因療法になります。
セレコックスは胃痛で飲んで大丈夫なのか？
胃酸が原因の胃痛の場合は、添付文書(PDF)を見る限り絶対にやめた方がよさそうです。
胃痛を抑えることが目的の場合だけではなく、「腰痛を抑える目的だけど、胃痛もある」ような場合も同様です。
禁忌に挙がっている
禁忌というのは「絶対に使用しないでください」というやつです。
禁忌一覧の中に「消化性潰瘍のある患者」とあります。 胃潰瘍とかのことですね。
消化性潰瘍を悪化させるおそれがあるそうです。 もっと痛くなりそう。
自分ではただ胃が痛いだけと思っていても、検査したら潰瘍が見つかることもあるだろうから、自分で判断はしない方がいいんじゃないかな。
慎重投与にも挙がっている
「消化性潰瘍の既往歴のある患者」とあります。
消化性潰瘍を再発させるおそれがあるんだそうな。
胃酸以外の原因(悪性腫瘍とか)の場合には鎮痛剤が効くようですが、自分では分からないでしょ？
何が原因で胃痛があるのか、どういう対処をすべきなのか、お医者さんにちゃんと診てもらいましょう。
セレコックスは「選択的COX-2阻害薬」という胃の痛くなりにくい痛み止めですが、だからと言って胃痛で飲んでいいわけではないようです。
まとめ
- セレコックスに限らず「いわゆる痛み止め」は胃痛の時には飲まない方がよさそう
- 胃痛の時には胃酸を抑える薬などを飲むらしい
- 自分で判断せずに、お医者さんに診てもらおう
以上！