用語集第3弾「差し歯」!
「差し歯」というのは正式な歯科用語ではありません。
患者さんに分かりやすく説明するための言葉なので、見た目が「差し歯」っぽいものが「差し歯」です。
どれのことだろう…。
僕は分かりませんでした。
「差し込む歯」というとインプラントをイメージする人もいるみたいで、「インプラントと差し歯ってどう違うの?」と友人に聞かれたことが「差し歯」を調べようと思ったきっかけです。
図解で一目瞭然
というわけで、今回は「差し歯」がどういうものなのか説明したいと思います!
だらだら読むのが嫌いな人はスライドショー版をどうぞ。
差し歯って何?(スライド版)
図解!差し歯の構造
絵にすると一発ですね、差し歯とはこういう↓物です。
今は被せ物と土台を分けて治療することが多いそうですが、「差し歯」は被せ物と土台が一体化したものです。
このように、根っこの治療が終わった後に、根っこの穴に差し込むので「差し歯」と呼びます。
差し歯の現在
先ほどの差し歯は歯科用語では「歯冠継続歯」「ポストクラウン」と呼ばれるもので、こちらのサイトによると、2006年に保険診療から消えてしまったそうな。
2020年3月現在の保険制度では差し歯の修理のみ記載がありました。
治療的には今はもっと優れたものがあるので、もう新たにポストクラウンが入ることはないでしょう。 今やると自費になってしまいますしね。
2009年発行の参考文献にも記載はありませんでした。
差し歯に変わる治療
「変わる」と言うと大げさですが、最初にちょろっと言ったように、今は被せ物と土台を分けて治療するようです。
比較するとこんな↓感じ。
新しい差し歯は被せ物(クラウン)と土台(コア+ポスト)で構成されています。
被せ物が入るまでの流れも、この↓ように2段階。 土台を入れてから歯を被せる。
なので、「差し歯」という言い方にならうなら、今の「差し歯」は、
差し根+被せ物
みたいな感じになるんでしょうか。
「差し歯」という名前から受ける印象とはちょっと違いますね。
新しい差し歯も単に「差し歯」と呼ばれている
新しい差し歯も慣例的に単に「差し歯」と呼ばれることがあるようです。
ただ、正式な歯科用語ではないので、先生によっては「土台と被せ物」とか「補強を入れる」とか「心棒」とか、色々な言い方がされているそうな。
(実際には補強効果はほとんどないそうで、説明用の言葉だそうです)
言葉は違いますが全部同じもの。
実は今でも差し歯を見ることがある
2006年以前に入っていた差し歯
当然、差し歯治療が行われていた時代のものが口の中に残っている患者さんがいるので、見かけることがあるようです。
ただ、どんどん減ってきているので最近はあまり見ないとも。
被せ物と土台がセットで外れた場合
先ほどの説明通り、今の差し歯は「被せ物+土台」という構造でできています。
この状態で、上の被せ物だけ外れたとします。
この場合、患者さんはこう↓言うそうです。
先生、被せ物が外れました。
これに対して、土台ごと外れてしまった場合。
この場合、患者さんはこう↓言うそうです。
先生、差し歯が外れました。
なるほど、確かに!
土台ごと外れた場合には間違いなく差し歯と同じ形です。
なんか面白くないですか?
治療としては差し歯(ポストクラウン)はなくなったのに、外れてきたものは差し歯と同じ形になることがあるんですよ。
先生に教えてもらって
おもしろっ!
と思いました。
まとめ
簡単にまとめると、こんな感じですかね。
- 被せ物と土台が一体化したものを差し歯と呼んでいた
- 今は差し歯は保険適用ではなくなり、新しく入ることはほぼない
- 新しい差し歯も、単に「差し歯」と呼ばれることがある
参考文献
医歯薬出版 クラウンブリッジ補綴学 第4版