アーチレングスディスクレパンシーというのは英語表記「arch length discrepancy」で、直訳すると「アーチの長さの不一致」。
これは矯正歯科の用語でして、歯の並んでいるスペース(アーチ)と実際に並んでいる歯の大きさを比較して歯並びがどうたら、みたいなやつです。
いい加減な説明過ぎて怒られそうですが、矯正は全然わかんないし、今回は監修の先生もいないので許してください。
ここでは言葉の意味についてではなくて、「アーチレングスディスクレパンシー」というカタカナ表記についてずっと気になってることを言いたいと思います。
このページの目次
「length」は「レングス」と発音するのか?
髪型にも「one length」で「ワンレングス」がありますよね。
「長い」という意味の「long」の名詞形が「length」で「長さ」という意味です。
「th」は有名な「舌先を少し噛んで発音するサ行(というか無声音)」なので、字面からは「レングス」と読めそうです。
英和辞典で発音記号を調べた
ロングマン英和辞典(ATOK内臓)では「leŋkθ, lenθ」。
ジーニアス英和辞典(ATOK内臓)では「léŋkθ, lénθ」。
2000年1月発行のプログレッシブ英和中辞典では↓この通り「léŋkθ」。
見えますかコレ。
「k」って書いてあるでしょ?
これはもちろん「ク」みたいに読むわけで、同じカタカナ英語だと「ビギナーズラック」の「ク」と同じ発音記号です。
つまり「レングス」ではなくて「レンクス」。
なぜ「g」なのに「k」で発音するのかは知りませんが「レンクス」です。
インターネットで調べると他にも発音記号のバリエーションはありましたが少なくとも「g」表記はない。 やっぱり「レンクス」。
「leŋ(k)θ」表記のものが()内を省略した場合「レン(グ)ス」みたいな読み方になりますが、「lenθ」が候補にあるところを見るとどちらかと言うと「レンス」に近い発音でしょう。
発音記号を見る限り、無理矢理カタカナで書くなら「レンクス」または「レンス」。「レングス」はちょっと無理がある。
オンラインのロングマン現代英英辞典で発音を聞いてみた
後で出てきますが英語に詳しい友人にロングマン現代英英辞典でネイティブの発音が聞けるを教えてもらいました。
単語単体の発音の赤いボタンを押すと「レンス」に聞こえます。 青いボタンを押すと「レンクス」に聞こえます。
例文の方まで聞き込んでいくとけっこう難しいんですが、ここに載ってる中じゃ「レンクス」が一番多いように聞こえました。
ぜひみなさんも実際に聞いてみてください。
こんなのは受験レベルの発音問題
高校受験か大学受験かどっちで習ったんだろ…
どっちか忘れましたけど、「length」の発音記号なんて受験レベルの問題です。
僕は両方とも発音記号にうるさい先生に教えてもらっていたので、「発音に注意が必要な英単語」として「length」はインプットされていました。
そのまま読むと絶対「レングス」って読んじゃいますからね。
センター試験でこんな↓問題出ても即答できます。
下線部の発音が他の3つと異なるものをひとつ選べ。
- great
- bag
- congrats
- length
答えはもちろん4の「length」で、他の3つは「グ」と読みます。
発音記号もちゃんと確認しましたが全て「g」表記です。
「length」を「レングス」と書くのは間違いと言えるのか?
「length」を「レングス」と発音するのは無理がありそうというのは分かっていただけたと思いますが、日本語としてカタカナで書く場合に「レングス」表記を間違いと言ってよいのかという問題です。
チームオレ歯科には英語に詳しい(うるさい)ソイ君がいるので、ソイ君に聞いてみました。
そもそも外国語をカタカナ表記するのに、正しいもクソもあるの?
いやまぁそうなんだけどね?
「length」の読みに関するソイ君の調査報告書
ソイ君も気になったようでいろいろ調べてきてくれました。
色々発音聞いたけど「k」と読む人と「g」で読む人がいるように思える。
あと最近のイギリスの若者は「g」も「k」も言わないのが流行りらしい。
「GU」と読むのは日本人だけか?と聞くと、
いや、普通にネイティブも言うと思う。
カタカナで書くからややこしんだw
結論としてはこんな↓感じ。
「ク」と言う人も、「グ」と言う人も、どっちも言わない人も、みんないる!
以上!
それでもオレはもの申したい
いやね、僕が言いたいのは、「アーチレングスディスクレパンシー」を名付けた人は「length」の発音記号を一度でも確認したのかなって。
今の発音事情はともかく、命名当時に辞書で発音記号調べてたら「GU」とは絶対書かないはずだから。
見たままカタカナにしたんちゃうんかいっ!
苦手か!発音問題が苦手なんか!
歯医者さんなんか受験勉強しっかりしてるんだから、ツッコんだ先生も絶対いると思うんですよね…。
「アーチレンクスディスクレパンシーでググってみた
「GU」じゃなくて「KU」の方の「アーチレンクスディスクレパンシー」で検索をかけてみました。
まずは素直に「アーチレンクスディスクレパンシー」
勝手に「GU」の検索結果を表示されてしまいました。
ちげーよ、Googleさん。 「KU」の方。
次にダブルクオーテーションで完全一致検索
ダブルクオーテーションで囲って完全一致検索しましたが、それでもしつこく「GU」の方を表示してきます。
ダブルクオーテーションで囲った意味ねーじゃん!
最後に「元の検索キーワード」をクリック
完全一致検索が機能していないので「元の検索キーワード」の「アーチレンクスディスクレパンシー」をクリックしました。
するとなんと該当0件!
だから完全一致検索が機能してなかったんですね。
ということは…
オレ歯科は「アーチレンクスディスクレパンシー」で1位独占だな!
ちなみにイギリストレンドの「アーチレンスディスクレパンシー」もなかったです。 こっちも1位になるだろう。
受験を控える若者は「strength」にも注意な!
「length」と同じように名詞化にあたり読みが変わる単語が、僕の知ってるだけでもうひとつ。
「strong」の名詞「strength」も辞書レベルでは「ストレンクス」です。
ゲームによく出てくる「STR」はこの「strength」だぞ。
ゲームは楽しいが受験終わるまでは控えめにな!
もし歯学部に受かったら4年か5年で矯正歯科学やるはずだから、矯正の先生に今回の話題をぶっ込んでみてくれ!
まとめ
ふぅ…。
長年気になっていたことをようやく言えました。
20年ぶりくらいにレンクス警察になりました。
割とどうでもいいことを一生懸命調査して楽しかったです!
一番気になる「そもそもlengthをどうしてレンクスと読んだ人がいたのか」が分かりませんでした。
参考文献
医歯薬出版 歯科矯正学 第5版
小学館 プログレッシブ英和中辞典 第3版