毒薬と劇薬。
毒薬は分かります。
マコとガコの冒険でフローラちゃんが飲んだやつです。
(分かる人いたらすごい)
劇薬は…なんだ?
文脈的には「弱い毒薬」のように読めるけど、それがなぜ「劇」の「薬」なんだ?
というわけで、劇薬の意味や由来を調べてまいりました!
劇薬は薬機法で定義されていた
薬機法の第44条2項にて、この↓ように定義されていました。
劇性が強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医薬品
毒性が強いのが毒薬で、劇性が強いのが劇薬ね。 うんうん、分かるよ。
だからその劇性ってのがなんなんだよ!
参考文献で調べてみた
現代歯科薬理学というテキストで調べてみました。
薬機法と全く同じことが書かれていました…。
「劇性」という言葉を調べてみた
weblio 国語辞典で「劇性」を調べてみると…
辞書に載ってない言葉を使ってたんかいッ!!
厚労省のPDFで明確な定義を見つけた
厚労省の「一般用医薬品及び劇薬について」というPDFにて明確な定義を見つけました。
毒性のある医薬品のうち、「どれくらい投与すると死に至るか」で毒薬と劇薬に分けているようです。 分かりやすいよう表↓にまとめました。
投与方法 | 毒薬 | 劇薬 |
---|---|---|
経口投与 | 30mg/kg以下 | 300mg/kg以下 |
皮下投与 | 20mg/kg以下 | 200mg/kg以下 |
静脈内投与 | 10mg/kg以下 | 100mg/kg以下 |
めちゃくちゃ分かりやすいですね。
綺麗に数字が10倍になっているので、劇薬は毒薬の1/10程度の毒性を持つ薬品のようです。
なぜ「劇」なのか
「劇」って「演劇」の「劇」しか知らなかったので、「劇性」と聞くと「芝居がかった」とか「劇的な」みたいな意味になるのかなと思っていました。
いやいや、馬鹿にしたもんでもないですよ!
Google先生も似たようなこと↓言ってますw
冗談はさておきに、「劇」という文字の意味をGoogleで調べてみると答えはすぐに分かりました。
1の「はげしい」という意味ですね。
つまり「劇薬」というのは、
(毒薬ほどではないけど)激しい作用を持つ薬!
という意味です。
それにしても相変わらずGoogleはすごい。「劇」という字を検索する人が知りたいのはおそらく2の意味ではないってのを分かった上で、1を先に表示してるんでしょうね…。
なぜ「激薬」ではなく「劇薬」なのか
文化庁のページに「劇」と「激」について書いてありました。
「激」のほうが「劇」よりは機能が大きいといえるであろう。
という記載を見るに、両方とも「はげしい」という意味で使われるが、「劇」の方は「劇的なはげしさ」に限定されるということかな。 例に挙がってる熟語を見るにそういう印象。
今日,「劇」に「はげしい」という意味があることは一般に知らなくなっているから,「劇職」「劇務」なども「激」を使うようになっていくであろう
僕は意味を知りませんでしたが、大勢がそうなのね。 よかった。
「劇薬」は今日のところ「劇」を使うのはやむをえないであろう。
これは薬機法にて「劇薬」という言葉で定義されてしまっているせいでしょう。 劇薬のマークなんかめっちゃ「劇」って書いてますからね。
以上から推測すると、
「激」も「劇」も使われていた時代に「劇的なはげしさ」というニュアンスで「劇薬」と名付けられた。
ということなんでしょう。
まとめ
- 劇薬とは、毒薬の1/10の毒性を持つ薬のこと
- 昔は「はげしい」という意味で「激」も「劇」も使われていて、その名残り
以上!