好きな人はいないと思いますが、僕は口内炎が大っ嫌いです。
しゃべると痛い!
ご飯食べると痛い!
あんなにちっちゃいのになんたる攻撃力!
正直、風邪引いて寝込むより気分が滅入ります。
口内炎で悩んでるケースって2つあると思うんですよね。
痛い、ご飯食べれない、なんとかして…
口内炎が全然治らないんだけど、これってもしかして…
今回はこの「痛い、ご飯食べれない」の方をお話したいと思います。
「口内炎が全然治らない」の方はこちらの記事から。
ほんとに大事なことなので先に書いてしまいますが、
口内炎だと思ってステロイドを塗ると逆に悪化する病気の場合があるそうです!
安易に自分で診断せずに、この記事を読んで適切な対処をとっていただけたらなと思います。
最初、けっこう長めの説明があるので、本題から見たい人は「結局、口内炎になったらどうするのが一番いいの?」から読んでください。
今回の記事のチェックは田中愼亮先生にお願いしました
どこの誰とも分からない僕が医療系のことについて書いても誰も信用できないと思うので、毎回テーマ毎にお詳しい先生に内容の確認をしていただくようにしています。
今回は、口腔外科出身の田中愼亮先生にチェックをお願いしました。
田中先生は、現在は香川県高松市にある【フレッシュ歯科】にいらっしゃいます。
どういう経歴の先生なのかはフレッシュ歯科公式サイトの田中先生のプロフィールを見てもらうとして、今回取材させてもらうにあたりいろいろ調べていた時に気付いたんですが、この人、Wikipediaに名前載ってたよ…マジかよ…
口内炎についておさらい
口内炎について軽くおさらいしようと思います。
このパートはこの先の話をするための前置きのようなものなので、本題から入りたい人は「結局、口内炎になったらどうするのが一番いいの?」から。
まずは定番のWikipedia。
口内炎とは、口の中や舌の粘膜に起きる炎症の総称である。
で、どうも口内炎には大きく4種類ありますよ、と。
- 細菌感染によるもの
- ウィルス感染によるもの
- アフタ性口内炎
- その他
この「アフタ性口内炎」の項に
アフタ性口内炎
一般的に「口内炎」と言えばこれを指すことが多い。
……。
アフタってなんや?
この「アフタ」について調べてみたんですが、
アフタ=アフタ性口内炎
としているところが多くてですね、満足したのがこちらの説明。
アフタ【aphtha】
古くヒッポクラテスの時代には灼熱および潰瘍形成を意味する言葉であったが,現在では…(以下略)
おお!
灼熱のような痛みってことか!
違いますね、たぶん「潰瘍」の方ですね。
Tips:【潰瘍】がどういうものか説明できますか?
「ただれている」状態ではありません。
胃潰瘍を「胃に穴があく」なんて言いますが、まさにその通り。 皮膚や粘膜の少し内側にある「基底膜」という膜を越えて穴があいた状態です。 基底膜を越えていないものは「びらん(=浅い潰瘍)」と呼ばれて区別されます。
要はがっつり穴が開いちゃった状態。
ここまでをまとめると、僕たちが認識している『いわゆる口内炎』は
=アフタ性口内炎
で、アフタというのは潰瘍という意味だったので
=粘膜にがっつり穴があいた口内炎
そりゃ痛いに決まってる。
なんで口内炎になるの?
先ほどの4つの分類のうち、
細菌感染によるもの
→ 細菌感染
ウイルス感染によるもの
→ ウイルス感染
その他
→ 「放射線性口内炎」が該当するそうなので、放射線治療後になる口内炎
肝心のアフタ性口内炎については
多くを占めるアフタ性口内炎についてはその発症の原因として以下のことが考えられている。 ステロイドにより治癒が促進されることから、アラキドン酸代謝物の作用の亢進より最終的にアフタ性口内炎が形成されることは示唆されるが現在のところメカニズムについては正確には分かっていない。 免疫学的異常が関わっているのではないかという説もある。
- 偏食による鉄分やビタミンの不足
- ストレスや睡眠不足
- 不正咬合や、歯ブラシなどによる粘膜への物理的刺激(口内を噛むなど)
- 唾液の不足、口腔の乾燥
- 口腔内の不衛生、プラーク(入れ歯かす)の付着した入れ歯の装着
また、口内炎になりやすい体質の人(食物アレルギーの人や粘膜の薄い人)もいる。 さらに、ビタミン欠乏症の症状として口内炎が現れることもある。
って、
分かってないんかい!!!
考えられている原因の複合的なもので、どれかひとつに特定はできていないという感じなんですかねー。
医学関係の調べ物をしていると「実はよく分かっていない」にぶつかることがけっこうあります。
結果として人間を治療する上で実績がある場合は根拠が分かっていなくても利用するってことなんですかね。
このあたり、なんともサイエンス。
結局、口内炎になったらどうするのが一番いいの?
先に結論だけ。
「ちょっとした知識や薬があれば、今までやってきた対処法より劇的に改善する」みたいな夢のような対処法があればよかったんですが、どうやらそれはないそうです。
残念。
とても残念。
口内炎の正しい対処法
一般にステロイド軟膏を処方するそうです。
先ほど説明した通り、口内炎は口の中の粘膜に起きる【炎症】です。
そしてステロイドは炎症を抑える薬。
口内炎にステロイド軟膏を塗ると、炎症を抑えて痛みを和らげる効果と、治癒を促進する効果があるとのこと。
ただまぁ……
軟膏塗ったことがある人はご存じだと思いますが、期待するような劇的な効果はないですよねー。
少なくとも、「塗ったらすぐに口内炎が治った!」のような魔法の薬ではありません。
もともと口内炎は10日前後で治るものなので、痛みをいくらか抑えつつ、その期間が少し短くなる…
風邪薬のようなものですね。
なので対処法としては
- たまにできた口内炎なら、軟膏を塗って様子見
- 軟膏がなければ何もせずに様子見
- 歯磨きをしっかり行い、お口の中を清潔に保つ
- 再発を繰り返しているようであれば、食生活や生活環境、お口の中の清掃状態の見直し
- 別の原因で再発を繰り返す場合もあるので、歯医者さんに相談
- 2週間経っても治らない場合は口腔外科へ
軟膏が欲しい場合は、歯医者さんまたは薬局で購入することができます。
僕のイメージでは
口内炎と言えばケナログ!
今回の記事で調べている時に知ったのですが、ケナログは2018年6月に販売中止になっていたそうです…。
メーカーのサイトのページの中段ごろ、「販売中止のご案内」にPDFがありました。
販売中止の理由は「諸般の事情により」。
なんなんだろ、誰か知らないかな?
(もしかしてこの新品ケナログはプレミアモノ!?)
ケナログが今後買えないとなると代わりになるものを探さないといけません。
ケナログにはトリアムシノロンアセトニドというステロイドが0.1%配合されていまして、同じ成分の商品がないかなと調べてみると
このあたりが同じ成分でした。
めんどくさくなって調査不足で2つしか挙げていませんが、もっといろいろあると思います。
確実なのは薬局で薬剤師さんに聞いてみてください。
口内炎にならないようにする方法は?
「口内炎にならないための予防法」もズバッと書きたかったんですが、先ほどの原因を逆さまにすると
- 偏食しない、鉄分やビタミンを十分にとる
- ストレスをためない、睡眠をしっかりとる
- 噛み合わせを治す、歯ブラシや噛み癖などで粘膜に強い刺激を与えない
- 口の中を乾燥させない
- 口の中を清潔にする、プラークの付いた入れ歯を使わない
……。
そんなにたくさん無理!!
要約すると「全身とお口の健康を保ちましょう」みたいになってしまうので、答えとしてはものすごく微妙。
田中先生にも確認してみましたが、
「コレだけやっておけば絶対に口内炎にならない!」なんていう予防法はない
とのことです。
こつこつと予防するしかないようですね…。
オレのオススメの対処法!
医学的根拠にもとづくものではなく、僕個人の経験からオススメする対処法です。
今回の記事で書いてしまおうと思ったんですが、田中先生監修と書いてしまった手前、ご迷惑がかかるといけないと思い記事を分けました。
せっかくなので僕の民間療法が医学的にどうなのかコメントいただいています。
よかったら合わせて読んでみてください。
口内炎は歯医者にかかった方がいいの?
どちらでもいいそうです。
市販の軟膏塗って治してもいいし。
気合いで治してもいいし。
歯医者で治療してもいい。
どうせ放っておいても10日前後で治ります(それが間違いなく口内炎であるなら)。
ただし!
詳しくはこちらの記事で書きましたが、
口内炎には似た症状を示す別の病気が多数あります。
そしてこの中には
ステロイドを塗ると逆に悪化する病気が含まれています!
マジかよ!
田中先生がおっしゃっていましたが
歯科医師として、やはり自己診断はおすすめできない。 2週間たっても改善しない、もしくはいつもの口内炎と何か違う感じがしたり、痛みがひどければ、口腔外科への受診をおすすめします
だそうです。
口内炎だと思ってステロイド塗ったら逆に悪化とかほんと恐い。
先に一番大事な部分を書いてしまいましたが、改めて詳しくお話ししましょう。
口内炎(に見える病気)で歯医者にかかるメリットは次の3つです。
1.薬局では買えないステロイド軟膏の処方
田中先生のいるフレッシュ歯科では、デキサルチン軟膏というステロイド軟膏を処方しているそうです。
こちら【医療用医薬品】というカテゴリの薬で、処方箋なしに薬局で買うことができません。
ケナログと何が違うねん……
調べてみました。
ケナログの成分はトリアムシノロンアセトニドでしたが、デキサルチンの成分はデキサメタゾン。
中に入っているステロイドの種類が違いました。
で、このトリなんとかとデキなんとかがどう違うのか…
こちらのサイトによると、トリなんとかの薬としての強さはミディアム。
対してデキなんとかの強さはなんとミディアムです!
あれ?同じ?
薬局で普通に買えないなら強い薬なのかと思ったのにー。
田中先生にうかがってみたところ、
基本的に違いはない。
お持ちの物があれば、どちらを使ってもらってもかまわない。
とのことでした。
ミディアムより上の薬は歯茎などの粘膜ではなく皮膚に使う用の薬だそうです。
粘膜は皮膚よりも薬を吸収しやすいそうで、強い薬を使うと副作用の心配がでてくるそうな。
なので口内炎にはちゃんと口内炎用のステロイド軟膏を使いましょう。
Tips:ステロイドって危なくないの?
ありますよね、このイメージ。
ステロイド=なんか知らんけど危ない
さっきからステロイドステロイド言ってますけど、口内炎でステロイドを塗るのは大丈夫なのか?
このイメージがどこから来てるのかは分かりませんが、実際にステロイドには非常に大きな主作用とともに、多くの副作用があります。 これを見ると「危ない」「恐い」というイメージは確かに持ちそう。
ただし、これらの副作用は
『高濃度』で『長期間』服用した場合のものです。
口内炎用の軟膏程度の濃度だと、塗ったものが剥がれ落ちて飲み込んでしまったとしても、問題になるような量ではないとのことです。
安心。
2.レーザー治療を受けられる
僕は経験がないんですが、歯医者さんに行くとレーザーで口内炎を治療してもらえるそうなんですねー。
レーザー治療をすると、口内炎の痛みが軽減!
口内炎は放っておいてもしばらくすると表面に被膜を形成しある日突然痛みがなくなるのですが、レーザー治療を行うと人工的にこの被膜を作ることができるそうで、
=本来より早い段階で痛みを抑えられる!
この他にも、レーザーには殺菌効果があり、治癒を促進する作用もあるんだとか。
何それ、レーザーすげー!
レーザーは必ず全ての歯科医院に置いてあるものではありません。
レーザー治療をご希望の場合には先にレーザー治療が受けられるかどうかを受診する医院に問い合わせてみましょう。
フレッシュ歯科にはあるそうです。
Tips:レーザーって即効性あるの?
口内炎の治療ってこの『即効性』があるのかどうかってかなり大事だと思うんですよね。
数日経てば治るのは分かってる!
でも今痛い!
今ご飯が食べられない!
今それをどうにかしてほしい!
田中先生に確認したところ、レーザー治療の効果は治療後すぐに得られるとのことでした。
即効性アリ!
ただ、医療従事者の立場としては
- 全ての患者さんにおいて同様の効果が得られる保証はない
- 必ず一度の治療で十分な効果が得られる保証はない
とお断りさせてください、とのことです。
まぁそれはそうですよね。
痛み止めの代名詞のロキソニンですら「全然きかん!」って言う人いますからね。
Tips:「レーザーで焼く」って言うけど熱い?痛い?
これは確かに気になる。
レーザーってアニメやゲームでは兵器ですからね。
田中先生に確認したところ、
痛みは感覚的なもので個人差はあるが、アニメやゲームのレーザーからイメージするるような痛みはない。
「あんまり痛くない」のような感想をもらうことが多い。
全く痛みを感じない人もいる。
不安がある人は実際に治療を受ける前に担当の先生に根掘り葉掘り聞いてみてください。
3.他の病気との鑑別診断が受けられる
口内炎だと思っていたけど実は口内炎ではなかった…
口内炎にはこのような不安もありますよね。
しかも上でお話したように、口内炎だと思ってステロイドを塗ったら逆に悪化する病気もあるようです。
口腔外科が得意な先生のところで診てもらうと、口内炎なのか、似ている違う病気なのか、しっかりと診てもらうことができます。
命に関わる病気の場合もあるので、下手に自分で診断したりせず、必ず専門家の判断を仰ぎましょう。
詳しくはこちらの記事でお話しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
長い文章になってしまいましたが、最後まで読んでいただいてありがとうございます。
簡単にまとめますと
- 口内炎は粘膜の炎症!
- ステロイド軟膏を塗ると痛み軽減や治癒促進の効果があるが、それほど劇的には変わらない!
- 歯医者に行くと即効性のあるレーザー治療を受けられる場合がある!
- 歯医者に行くと口内炎に似た別の病気かどうかの確認をしてもらえる!
- 口内炎と思ってステロイドを塗ると悪化するケースがある!