難解極まる歯医者の保険診療と自費診療!むし歯治療も自費で出来るって知ってた!?

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投稿日時:2019年12月11日(2020年1月14日に更新されました)

歯医者で治療したことのある人だと経験したことがあると思うんですが、

「こちらの治療の場合は自費になりますねー」

ハァ!?自費!?何それ!?

こんなこと言われるのは歯医者さんだけです。 風邪でお医者さんにかかって言われたことないでしょ?(ほんとはあるんですが)

しかもタイトルの通り、保険適用になるむし歯の治療も、実は自費診療で行うことができるんです。

わっけわかんねー!

というわけで!

歯医者さんでの治療費において、

  • 何がどうなら自費診療なのか
  • 何がどうなら保険診療なのか
  • そんなことを決めたのは誰なのか

今回はこのようなお話をしたいと思います!

今回の記事のチェックは猿田陽平先生にお願いしました

猿田さるた 陽平ようへい
資格
  • 歯科医師
現在お勤めの医院

どこの誰とも分からない僕が医学について書いても誰も信用できないと思うので、毎回テーマ毎にお詳しい先生に内容の確認をしていただくようにしています。

今回は、昭和大学出身の猿田陽平先生にチェックをお願いしました。
現在は福岡県福岡市にある陽だまり歯科にいらっさる。

とりあえず負担額が全然違う!

保険診療は治療費の半分以上を国が負担してくれます。

多くの場合は国が7割、自己負担が3割です。

  • 70~74歳は2割
  • 75歳以上は1割
  • ただし、70歳以上でも現役並みの収入がある場合は3割

自費治療の場合は10割だ!

全額自己負担だ!

同じ治療費だったとしても3倍以上払うお金が変わってきます。

子どもの医療費は自治体によって違う

子どもの医療費の負担額は自治体によって違います。

猿田先生のいらっさる福岡市では、

  • 3歳未満は無料
  • 小学校までは月の上限が600円
  • 小学校は月の上限が1,200円
  • 中学生からは大人と同じ

ご自分の自治体でどうなっているかは、自治体のホームページで確認してみてください。

自費診療は保険適用でないもの

僕は【自費診療】って呼ぶ癖がついちゃってるんですが、これ、けっこういろんな呼び方があるんですよね。

  • 自費治療
  • 自由診療
  • 保険適用外診療
  • 保険外診療

などなど。

正式には何て言うのかなーと思って国のホームページを見ていると

厚労省は【保険外診療】

国税庁は【いわゆる自由診療】

となっていました。

厚労省の呼び方が実態を表していますね。

自費診療とは、保険診療以外の診療のことです。

自費診療はスゴイ治療という認識でOK?

定義的には「保険診療でできないこと」が自費になるだけなので、必ずしも保険診療よりスゴイ!というわけではありません。

ですが実態としては、保険診療よりスゴくない治療をわざわざ自費でやりたがる先生もいませんし患者もいません。

なので、

自費診療 = 保険診療よりも何かしらのメリットがある治療

と考えてもらってOKだと思います。

保険診療とは何なのか

「保険診療とは一体何なのか」

めちゃくちゃ難しかった!

いや、なんとなくは分かるんですよ?

でも明確にどういう定義になってるのかがよく分かんなくて、厚労省のPDFめっちゃ読みました!

たぶん定義はコレ。

  1. 保険医療機関において
  2. 保険医が
  3. 保険診療の基準に沿って診療を行い
  4. 保険医療機関は実施した診療内容等に基づいて
  5. 厚生労働大臣が告示をもって定めている診療報酬を算定し
  6. 診療報酬明細書を作成し請求する

この「厚生労働大臣が告示をもって定めている診療報酬」というのが「何が保険適用で何が保険適用じゃないのか」を決めているんです。

つまり犯人は厚生労働大臣。

いや、違う違う、犯人ではない。

で、どういう治療がこの【診療報酬】に載っているかというとですね、簡単に言うと病気を治療する治療だそうです。

産婦人科は自費!

猿田先生が面白い例を教えてくれました。

医科の方のお話ですが、産婦人科で出産するとその費用は保険適用外なんだそうです!

セラミックの歯にしたり、インプラント入れたり、保険より良い治療を望めば自費になるのは分かりますよ?

でも生物として自然な行いであるお産がなぜ自費に!?

なぜなら妊娠も出産も病気じゃないから。

分かりやすいですね。

逆に同じ産婦人科でも感染症や腫瘍などの病気の場合には保険が適用できます。

歯科の保険診療の例

歯科での保険診療は、それはもうたくさんありますが、よくお世話になるのはこのあたり。

  • むし歯の治療
  • 歯周病の治療
  • 親知らずの抜歯

この他にも、

むし歯で歯を削りました。
そのままではご飯が食べられないので銀歯を作ります。

これも「ご飯が食べられない」という機能障害に対しての治療(機能回復)となるので保険適用です。

歯科では病気の治療ももちろんですが、この【機能回復】でお世話になるケースがかなり多いです。 かぶせ物はもちろん、つめ物、差し歯、入れ歯、ブリッジなどなど、これらは全て機能回復の手段です。

保険診療は治療費含め細かく規定されている

その他にも保険治療の大きな特徴として、治療の方法も回数も治療費も細かく規定されているという点があります。

このおかげで治療費が医院によって変わりません。 これは僕たち患者からすると非常に大きなメリットでしょう。

もし医院ごとに治療費が違っていたら

「むし歯治療が安い歯医者を探さないと!」

みたいなことになりかねませんからね。

保険診療が細かく規定されているおかげで、僕たちはそんなことを考えずに治療を受けられます。

おことわり

治療に対する保険点数(治療費)は医院間で変わりませんが、特定の施設基準を満たす医院で治療を受けると【歯科外来診療環境体制加算】のような追加料金があります。

70円くらい払うと良い設備の医院で治療が受けられる仕組みです。

この影響で少しだけ医院間で値段差ができますが、これも保険のルールの範囲内で決まっています。

治療費に関しては細かく規定されていることが僕たち患者に有利に働きました。

ところがこれはメリットばかりじゃない…

根っこの歯石取りは1回で全部できない

歯周病がある程度進行してくると、見えている部分だけじゃなくて歯の根っこにも歯石がついてきます。

もちろん全部とってもらわないといけないんですが、保険でやるとまとめて1回でできないんです!
上下全部だと6回に分けないといけない。

じゃー来週続きの歯石取りしますねー

え?今日まだ時間あるし全部取っちゃってよ先生

すいません、保険で歯石取りをするとまとめてできないんですよ…

は?何言ってんの?意味わかんないよ。今日やってしまってよ

どうしてもと言われるなら自費での歯石取りになります…

いやいや、何言ってんの先生。そんなの誰が決めたのよ

厚生労働大臣です!(キリッ

やっぱり犯人はあいつかーーーー!

違う違う、犯人じゃない。

治療費のようにメリットもある反面、こういう不便さもあるのが保険診療なんです。

おまけ:治療費が固定なせいで歯医者は泣いています…

僕たち患者にはとても大きなメリットがある治療費固定ですが、実はこれ、とんでもない罠があります。

歯医者の治療は材料費が発生することが多いんですね。

つめ物したり、かぶせ物したり、入れ歯作ったり、歯の型とったりと。

材料費は誰が?

もちろん歯医者さんが払っています。

ん?

今レアメタル高騰してなかったっけ?
銀歯の材料費は上がってないの?

めっちゃ上がってます!

でもその分、診療報酬も増えてるんだよね?

ほとんど増えてません!

なにーーーー!
誰だーーーー!
そんなこと決めたやつはーーーーー!

厚生労働大臣です!(キリッ

またお前かあああああああああああああああああああああ!

この話はまた後日詳しく…

こんなきわどい話題、誰か監修受けてくれるのかな…

銀歯を作ると赤字になるという嘘みたいな話 (近日公開予定)

改めて自費診療とは

ここまでのお話で、保険診療についてはなんとなく雰囲気をつかんでもらえたと思います。

厚生労働大臣の定めた診療報酬に基づいているので、自由度はないけどどこでも安心して同じ治療を受けられる。

これに対して自費診療には、こういった規定がありません。

これが【自由】診療とも呼ばれるゆえんです。

患者の同意が得られれば、使う素材も、方法も、値段も一切が自由。

先ほどの根っこの歯石取りも、自費診療なら1回でパパッと終えてしまうことも可能です。

ちょっと待て!今度は値段が高くなるんじゃないのか!?

これはまぁ、ある程度その通りです。

銀歯でかぶせ物を作ると3割負担で5,000円くらいですが、セラミックの歯の場合、高いと10万を超えてきます。

でも際限なく値段が高くなることはありません。

なぜなら市場原理が働くからです。

仮にどこかの歯医者が「うちはインプラントを1000万円でやります!」と決めたとします。

すると隣の医院は「うちは980万円でインプラントやってます!」となるわけです。

さらに患者が「そもそもそんな値段ならインプラントなんかしないよ!」と言い出します。

「じゃーうちは500万!」
「いやいや、うちは…」
と続けているうちに、原価と需要と供給のバランスが取れたラインで必ず落ち着くわけです。

インプラントの場合は20~40万くらいですかね。 インプラントはちょっと値段幅が大きめですが、その理由はこちらの記事を読んでみてください。

インプラントの10~50万の値段差は異常だろ!?インプラント費用の仕組みや相場を徹底解剖! この記事を読む

歯科で自費診療になる例

上で挙げたインプラントや、他には矯正治療あたりが自費診療の代表格でしょう。 金属を使った総入れ歯も自費で、かなり高いです。

他には、かぶせ物をセラミックや金歯にしたり、ホワイトニングなんかも自費ですね。

セラミックも機能回復だろ!保険にしろ!

どうせかぶせ物入れるなら銀歯より、白いセラミックにしてほしいに決まってます。

「セラミックで治しても機能回復だろ!」と言われるとまさしくその通りなのですが、保険制度では代わりになる銀歯やプラスチック(レジン)での機能回復の手段をちゃんと提供しています。

病気を治療して、機能を回復するだけならこれで十分でしょ?

というわけです。

セラミックでの修復は病気の治療の範疇を超えてしまっているとの判断なのでしょう。

残念…。

ところがですね。

従来は銀歯しか保険適用にならなかった部分でも、近年になって条件付きで強化プラスチック(セラミックを配合したプラスチック)が保険でも使えるようになってきています。 保険が改正されるごとに徐々に適用範囲や条件が広がっているようです。

あと、これは言っていいのか、いや、今はまだやめておこう。 とにかくですね、徐々に保険でもいい素材が使えるようになってきてるんですよ。

誰だーーーー!
そんな粋な計らいしてる奴はーーーーー!

「厚生労働大臣です!(キリッ」

よくやった!!!!!!!

金歯も…金歯は別にいいや

と思った人!

セラミックに比べると【見た目】という圧倒的なハンデを背負っているにもかかわらず、金歯にもちゃんとメリットがあります。

本職歯科医師が金歯を選ぶ理由!セラミック一択じゃないの!? この記事を読む

と言っても保険適用にはならないんですが…

理由はセラミックと同じです。

インプラントも機能回復だろ!保険にしろ!

インプラントもセラミックと同じですね。

インプラントは歯を抜いた後に行う治療のひとつですが、保険でもブリッジや入れ歯という手段がしっかり用意されています。 機能を回復するという意味ではインプラントが絶対に必要なわけではない。

逆に!

病気を治す上で必要であればインプラントも保険適用になります。

外傷や腫瘍等の病気で顎骨を失った場合や、その部位に骨移植をおこなって再建した場合、先天的に歯や顎骨を欠損している場合に限って、インプラント治療に健康保険が適用されることになりました。

なんと!!

ただ、保険のインプラントは町の歯医者さんでは扱っていないことが多いと思うので、ちゃんと先生に確認をしましょう。

あと、保険である以上、この文面以上に細かい規定があります。 「自分は生まれた時から歯が1本足りなかったから保険でインプラントできるはずだ!」のようにはならないと思います。

自分がちゃんと保険のインプラントの適用条件を満たしているのかを含めて、きっちり先生と話し合ってください。

矯正も機能回復だろ!保険にしろ!

矯正もインプラントに近い形です。

基本は保険適用になりませんが、条件付きで保険適用になる場合があります。

自由診療における歯科矯正治療は保険適用外ですが、下記の「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療、ならびに顎の外科手術を要する顎変形症の手術前、手術後の矯正歯科治療、および前歯3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするもの)に限り保険診療の対象となります。

「別に厚生労働大臣が定める疾患」というのが53項目もあったので省略しました。 詳しくは上の日本矯正歯科学会のページを確認してみてください。

こちらも町の歯医者さんではあまりやっていないと思います。 自分が適用になるのかも含めて先生と話し合ってくださいね。

ホワイトニングも機能回復だろ!保険にしろ!

これ、どうなんでしょうね。

いや、現実問題は保険適用にはならないんですが、「現代社会を生きる上で、歯が黄色いことで社会動物として機能障害がある」みたいな解釈をすれば、将来的にはホワイトニングが保険適用に…ならないか。

避けられない理由による歯の着色に限り…とか、なったりしないかな。

ちなみに。

厳密にはホワイトニングではありませんが、「歯を白くする」のが目的なら保険でできる場合があります。

歯のホワイトニング?歯のクリーニング?区別できてますか? (近日公開予定)

実は自費診療の範囲はウソを付いた

実は先ほど言った「保険適用にならないものが自費診療」というのは正確ではありません。

どう説明すればいいか…

インプラントとか矯正とか、自費診療でしかできないもの(特例除く)が保険適用にならないのは正解です。 でも逆はOKなんですよ。

保険でできる治療を自費でやってはいけないというルールはないんです!

こうじゃなくて、

こう!

むし歯の治療だって自費でできるんです

例えばですね、

俺は世界で1番むし歯治療がうまい歯医者だ!
2位の歯医者より100億倍良い治療するんだぜ!
俺の治療が受けたければ虫歯治療100万円!

なんて先生がいてもですね、患者側もこれを納得して治療を希望すれば、仕組み上、全く問題ないんです。

むし歯治療で100万とかぼったくりだろ!

と思ってしまいますが、この考え方はダウト。 だってそれだけのメリットを提示してるんですから。

その先生の治療に価値を見いだして、100万払ってでもその先生に診てもらいたいなら全く問題ありません。

嫌なら他の歯医者にいけばいいだけです。

5000円しか払わないけど、あんたに診て欲しいんだよ!

なんて言ってみても「どうぞ、お引き取りください」でしょう。 価値があると思ってるなら100万円用意しないといけない。

実際に、特別な資格を持っていたり、凄い腕を持っていたりする先生がこういう治療の仕方をしているようです。

抜歯だって自費になる場合があります

親知らずが痛い!親知らずを抜きましょう!

これは保険適用となります。

ところが、

矯正します!親知らずを抜きましょう!

この場合は自費になります。

いや、さっき親知らずの抜歯は保険だったじゃないか!

保険適用だったのはあくまで「痛みのある親知らずの抜歯」です。

矯正(自費診療)のために抜歯が必要なら、その場合は抜歯も自費。

ちなみに初診料・再診料も自費になります。

他にもややこしいのが予防歯科

上戸彩さんがCMでめっちゃ言ってますよね予防歯科。

予防歯科が何をやってるかと言いますと、歯をクリーニングして歯石を取ってるだけなんですが、これも保険と自費の話が非常にややこしい。

実は、予防歯科は自費診療なんですよ。

むし歯や歯周病の【予防】なら自費診療

序盤にも言いましたが、病気を治すのが保険診療です。

じゃー病気を予防するのは?

これは保険適用にならないんです。

は?おかしいだろ、どう考えても保険適用だろ!

というのは僕も同じ思いですが、同じく病気の予防。 ワクチン接種が自費だって知ってましたか?

もちろん自治体が定める三種混合ワクチンやBCGなどは保険というか公費です。

ですが、毎年受けてるインフルエンザワクチン。 あれは自費なんですよ。

病気の予防は医科歯科問わず自費になるんです。

同じように歯のクリーニングや歯石取りを行っても、歯周病にならないためにクリーニングするなら保険適用にはなりません。

歯周病【治療】としてなら保険診療

全くややこしい話ですが、既に歯周病になっている場合にも予防歯科と同じことをします。 歯のクリーニングと歯石取りです。

この場合はね?

歯周病の【治療】になるので保険適用なんです。

いや、もういよいよ意味わかんないなw

結局、予防歯科は自費診療?

あなたが今、歯周病になっていないなら自費診療です。 1回5,000~10,000円くらいかかると思います。

ただ、実際問題は歯周病になっている人は8割とも9割とも言われています。

今、痛みや腫れ、出血など、自覚症状がなかったとしても歯周病かもしれませんよ? なぜなら初期の歯周病は自覚症状がないからです。

もし歯石が気になってて歯医者に行ったなら、あなたはかなり高い確率で歯周病!
保険適用になる可能性が高いです。

保険の場合は3回合計で5,000円ほど。
ん?なんで3回も行かなきゃいけないかって?

保険でそう決まってんだよ!

もし歯周病の症状が見られなくて、自費になりますと言われた場合には、歯医者さんと相談の上、あなたが納得できる選択をしてください。

自費だから損とかはないですよ。 自費での予防歯科にこんなに抵抗があるのは日本人だけらしいです。

歯周病はほんと怖い病気ですからね。 ちゃんとお金払ってちゃんと診てもらいましょう。

まとめ

ちゃんと保険診療と自費診療について知りたかったことをお伝えすることができたでしょうか!?

簡単にまとめますと、

  • 保険診療とは「厚生労働大臣が告示をもって定めている診療報酬」に載っているもので、中身は病気を治す治療
  • 自費診療とは一般にそれ以外の治療を指すが、保険診療を自費で行うこともできる
  • 予防歯科は原則自費診療だが、歯周病にかかっていれば保険診療

なかなか全てを理解するとは難しいと思うので、治療の際には納得いくまで先生と話し合ってみてください。

とりあえず「保険=病気の治療」だけ覚えておけば理解しやすくなると思います!

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