削らない虫歯治療のヒールオゾン!虫歯を削る時代は本当に終わったのだろうか…?

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投稿日時:2020年2月25日(2020年3月1日に更新されました)

何やら「虫歯を削らずに治療する方法」があるらしい…。

もしこれが本当なら革命だ。

だって歯を削られるから歯医者に行きたくない人いるでしょ?

「削るのが怖すぎて耐えられない!」ってほどじゃなくても、「なんかいやだな…」くらいの感覚で敬遠してる人も含めたらけっこうな数になると思います。

他にも、歯は一度削ってしまうとどんどん悪くなってしまう負のスパイラルに陥りやすいです。

これらが全て解決!

今回はそんな魔法のような虫歯治療、ヒールオゾンについて調べてきました。

(魔法じゃなかったからちゃんと最後まで読んでね)

今回の記事のチェックは門野内聡先生にお願いしました

門野内もんのうち さとし
資格
  • 歯科医師
現在お勤めの医院
門野内聡先生のページへ

どこの誰とも分からない僕が医療系のことについて書いても誰も信用できないと思うので、毎回テーマ毎にお詳しい先生に内容の確認をしていただくようにしています。

今回は、九州大学出身の門野内聡先生にチェックをお願いしました。
現在は山口県下関市にて開業準備中だそうです。

珍しいお名前ですが、「もんのうち」と読みます。 通称「もんち」。

ヒールオゾンとはどんな治療なのか

僕が最初に紹介してもらった動画ではこのような↓流れで治療していました。

  1. 虫歯に直接オゾンガスを噴射
  2. 歯を再石灰化させるペーストを塗布
  3. 自宅で1カ月ほどペースト塗布を継続

オゾンは殺菌効果があると考えられているそうで、オゾンによって虫歯菌を殺菌。 その後、虫歯菌に溶かされた歯をペーストの作用で再石灰化させるというもののようです。

ただし、「初期の虫歯」と注意書きあり

なんだ、初期の虫歯だけか…

とは思ったんですが、今まで削っていた虫歯のうち、いくらかでも削らずに治療できるようになったというならスゴイことだと思います。

「再石灰化」について

イメージ的には再生に近いんですが、再生と呼べるものではありません。

歯の表面が溶かされても、唾液に含まれているカルシウムとリン酸(歯の成分)による化学的な作用で元に戻ろうとする現象のことです。

上で出てきたペーストはおそらくフッ素やアパタイトを含んでいて、この再石灰化を促す効果をもっているんでしょう。

再石灰化があるなら虫歯になんてなりそうもないように聞こえますが、一定以上歯が溶けてしまうと再石灰化は間に合わなくなって、しっかり虫歯になります。

オゾンの危険性について

ご存じ、オゾンは危険なガスです。

吸引量によっては死に至ることもあるそうな。

ヒールオゾンはちゃんとこの辺に配慮している装置のようで、動画でも歯にカポッと被せて、ガスが漏れ出ないようになっていました。

余ったオゾンは機械が吸い上げて、機械の中で分解するそうです。

Wikipediaはヒールオゾンを全否定!?

先生に聞く前にまずは前情報をと、Wikipediaでヒールオゾンを調べてみました。

みましたが…

Wikipediaでこんなフルボッコされてる治療は見たことがねー!

Wikipediaは内容が変更されることがあるので、以下、2020/2/24段階の情報として、気になった部分をピックアップしてみます。

序論からいきなりネガティブな情報

(前略)

現在はKaVo社では取り扱いを中止している。

(中略)

現在日本では医療機器としての認可はされていない。

「販売中止」に、「未認可」…。

KaVo社というのは国産車で言うならトヨタ、ホンダ、日産!

そんな大手メーカーが撤退ということはもうこれで答え出てるような気がします。

有効性の項目でも否定的

(前略)

日本では、薬事法による認可を受けておらず有効な治療法とは認められていないため、

(中略)

KaVo社がその取り扱いを中止した事もあり、あまり普及していない。

「有効な治療法とは認められていない」…
「あまり普及していない」…

論文的根拠ではフルボッコ

ヒールオゾンの効果については多くの論文が発表されている。 それらの論文の信頼性については各国の研究者の組織であるコクラン共同計画によって検証が行なわれている。 その結果、

  • それぞれの研究でバイアス(偏見)がかかっているリスクが高い。
  • 効果についての評価法に一貫性がない。
  • 虫歯をオゾンガスで治療しても虫歯の進行を止めたり治療したりできるという信頼しうる根拠は無い。
  • ヒールオゾンが従来の虫歯の治療法の代替療法や第一選択になるためには、さらに適切で厳密で質の高い根拠が必要と結論している。

と、その効果の根拠については否定的である。 またコクラン共同計画の一般向け要約には「オゾン療法を現在の歯科の治療法の代替手段として考慮すべきではありません。」との記述がある。 現在の所ヒールオゾン法により直ちに上記に記述されているような「メリット」が得られるという学術的裏付けは無い。

短くまとめると、

  • ヒールオゾンに関する論文がたくさん出ていて、コクラン共同計画がそれを検証
  • その結果、客観性に問題のある論文が多く、ヒールオゾンが虫歯を治療できるという科学的な根拠は示せていないと判断
  • ヒールオゾンはまだ従来の虫歯治療に代わる手段とは呼べない

みたいな感じですかね。

…って、全然ダメじゃん!

検証を行ったコクラン共同計画というのは、

コクラン共同計画とは、治療と予防に関する医療情報を定期的に吟味し、人々に伝えるために、世界展開している組織である。

各国の研究者が3万人近い規模で集ったボランディア団体だそうな。

歯医者が10人くらいいるLINEグループで聞いてみた

先生方、ヒールオゾンってどうなんすか?

に対する解答を箇条書きにすると、

  • 初期の虫歯だけってのが味噌だね
  • 効果のほどはどうあれ、自分で気に入って治療を受けたなら、そこから歯磨きを頑張る動機づけにはなりそう
  • 「虫歯がなんでも治る」みたいに誤解されないといいけど…
  • 虫歯治療はもっと長期的に継続して管理していくものだよ
  • そもそもオゾンで齲窩(虫歯で削れたところ)の殺菌にエビデンス(根拠)あるの?
  • これ、絶対トラブルなるやつwww

などなど、あまり肯定的な意見は出てきませんでした。

門野内先生に詳しく聞いてみた

「ヒールオゾンに根拠なし」でファイナルアンサー状態だったんですが、門野内先生に聞いてみると2020年2月現在、最新の情報を調べてきてくれました。

考え方自体はうさんくさいものではない

「ヒールオゾン」そのものは、すごく胡散臭いものかというとそうでもない印象だとのこと。

もともとオゾンは、100年以上前から部屋の消毒剤や、血液の浄化などに用いられていて、殺菌能力には優れている。

ただし、オゾンガス自体不安定なのと、高い毒性も併せもっているから、治療へ用いる方法が難しいとされている。

コクラン共同計画は件の発表を撤回している

撤回されているようです。 証拠も見つけてきました。

まず、Wikipediaの「論文的根拠」に上がっていた内容は2004年7月19日に発表されています。

Ozone therapy for the treatment of dental caries
(虫歯治療のためのオゾン療法)

そしてその後、2019年2月7日にこの発表を撤回。

This review has been withdrawn
(この報告は取り下げられました)

むむむ。

ということは取り下げなけれなならない何かがあったということなわけで…。

門野内先生は「現在、完全に否定されている状態なのかは何とも言えない」と。

でもやっぱり科学的な根拠は不足している

実際に虫歯治療に効果があるのかについては、やっぱりエビデンス(根拠)がなさそうとのことです。

オゾン自体は、歯周病、根っこの治療、口臭、プラーク除去、知覚過敏、ホワイトニング…とといろいろな治療に用いることができるという論文がありました。

Clinical utility of ozone therapy in dental and oral medicine.
(歯科医学および口腔医学におけるオゾン療法の臨床的有用性)

この中に虫歯治療についても記載があるけど、文献が古いし、最近は研究されていなさそうとのこと。

歯周病はオゾン治療の研究が最近でもさかんだそうな。

Evaluation of the effect of topical and systemic ozone application in periodontitis: an experimental study in rats
(歯周病における局所および全身オゾン適用の効果の評価:ラットでの実験的研究)

小児歯科目線で一言

門野内先生は虫歯の治療を専門とされているのですが、歯を残すにはまずは子供の頃から、ということで最近は小児歯科にも力を入れておられます。

その小児歯科の目線で付け加えさせてもらえるなら、初期の虫歯というと子供への応用が期待されると思うけど、それにしてはオゾン治療が子供に及ぼす影響(安全性)の評価や研究が十分でないと感じます。

とのことです。

そもそも今は業界全体がなるべく削らない方針

歯を削らずに治療できるという魔法は残念ながら信憑性が怪しいものでしたが、そんなことをせずとも今はMI(エムアイ)と言ってですね、歯科全体がなるべく歯を削らないという方針になっているそうです。

MIというのは「Minimal Intervention」の略で、「最小限の干渉」みたいな意味です。

再石灰化が期待できる状態なら歯を削らずに様子見をしたり、削るにしてもなるべく削る範囲を小さくしたりと、少しでも歯を残すために先生方は努力されています。

これからもっと技術が進歩していくと、いずれは本当に歯を削らずに治療できる日が来るかも知れないですね。

話題性ある治療の噂にはご注意を…

先生方も危惧していましたが、この手の魅力的なキャッチコピーの治療は、又聞きが恐ろしいです。

元の動画の先生も「初期の虫歯の治療」であることを明記していますが、動画を見て興奮した誰かが

虫歯、削らずに治せるってよ!

マジかよ!?

で、それを聞いた誰かが進行した虫歯なのに、

削らずに治してくださいね。動画でそんなの見ましたよ。

いや、それはね…

なんだよ!できねぇのかよ!このヤブ医者がー!

みたいなことにもなりかねません。

他にもテレビなんかで取り上げられている時には、「初期の虫歯だけ」とか「虫歯の状態によっては効果が出ない場合があります」とかを、目立たないようにちっちゃく書いてある場合があります。

みなさんが自分自身で調べて、考えて、判断する癖をつけましょう。

「テレビで言ってた」は根拠ではありません。

踊らされると損をするのは自分なので必ず自分で調べること。

自分で調べるのがめんどくさい場合は…!

そう、オレ歯科.com!

オレ歯科を今後ともよろしくお願いします!

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